性器ヘルペスウイルス感染症 (せいきへるぺすういるすかんせんしょう)

性器ヘルペスウイルス感染症は、あらゆる性行為(セックス・アナルセックス・オーラルセックス)により感染する病気で、単純ヘルペスウイルス(1型HSV-1と2型HSV-2)により感染します。性器だけではなく、オーラルセックスにより口周りや咽頭(のど)へも感染します。ヘルペスウイルスは感染力が非常に強いウイルスで、感染者の口や陰部などの粘膜、皮膚にあらわれた湿疹、体液などを通して感染します。

単純ヘルペスウイルス2型に感染していると、HIV感染症にかかるリスクが約3倍近く高くなります。HIVとHSV-2の重複感染は、深刻な合併症を起こす可能性が高まります。

症状

男性の症状

最初は患部の表面にヒリヒリ感や、むずかゆさなどを感じます。2~10日ぐらいでかゆみを伴った1~2mmの赤いブツブツや水ぶくれができます。それが破れて潰瘍(ただれたようなもの)ができます。強い痛みがあり発熱を伴うことがあります。同時に太もものリンパ節の腫れや痛みが見られます。症状の出る場所は亀頭陰茎体部に症状が出ることが多いですが、太ももやおしり、肛門周囲、直腸粘膜に出ることもあります。

1年以内に8割以上が再発すると言われており、過労やセックス・ストレスなどの刺激で再発することが多く、初感染の時と同じ箇所、またはおしりや太ももに水疱や潰瘍ができます。初感染の場合よりも症状は軽いことが多く、治るまでの期間も短くなります。

女性の症状

水ぶくれや潰瘍(ただれたようなもの)ができます。排尿時に強い痛みを伴い排尿が困難になることもあり、発熱の症状が出ます。同時に太もものリンパ節の腫れや痛みがみられます。症状の出る場所は外陰、膣の入口とおしりにみられます。子宮頸管膀胱にまで感染が広がることもあります。

1年以内に8割以上が再発すると言われています。過労やセックス・ストレスなどの刺激で再発することが多く、性器またはおしりや太ももに水疱や潰瘍ができます。再発する前に、腟の入口の違和感や太もも周辺に神経痛のような痛みなどの前兆が見られることもあります。初感染の場合よりも症状は軽いことが多く、治るまでの期間も短くなります。

口腔の症状

オーラルセックス(フェラチオ)やクンニなどにより、口周りに性器ヘルペスウイルス感染症が起こることがあります。主な症状としては、口の周りに「できもの」が出てくるだけなので、気付かない事が多いです。

治療方法

専門医に出向き、単純ヘルペスウイルスの増殖を抑制する「抗ヘルペスウイルス内服薬(アシクロビル、バラシクロビル)」を服用します。軽い症状では軟膏塗布(ビタラビン)、重い症状では、入院して点滴治療も行います。病変部分の症状は治りますが、ヘルペスウイルスは神経節にも潜伏しているので、この時点では完治とは言えません。

現在のところ、神経節に潜伏するウイルスを排除して完治させることはできません。過労・ストレス・セックスなどのさまざまな刺激でウイルスが再び活性化して皮膚や粘膜に戻り、症状が再発することがあります。