梅毒 (ばいどく)

梅毒は、あらゆる性行為(セックス・アナルセックス・オーラルセックス)により感染する病気で、トレポネーマ・パリダムという病原体により感染します。口に感染が及んでいる場合は、キスでも感染することがあります。その中でも最も感染が多いとされているのがアナルセックスで、他の性行為より傷口に病原体が血液中に入り感染を引き起こしやすいと言われております。

この梅毒に感染していると、HIV(エイズウイルス)への感染がしやすくなると言われておりますので、梅毒に感染した場合はHIV検査もあわせて受けることをオススメいたします。妊娠時には子供にも感染します(先天性梅毒)。一昔前までは、治療薬がなく「不治の病」と呼ばれていました。

症状

先天性梅毒と後天性梅毒に分けられ、さらに後天性梅毒は4期に分類されています。

感染後、約1週間から13週間の潜伏期間を経て発症します。現在では、比較的早期から治療を開始する例が多く、抗生物質が有効であることなどから、第3期、第4期に進行することはほとんどありません。

第1期

感染後、3週間から3か月の状態。トレポネーマが侵入した部位(陰部、口唇部、口腔内)に、しこり(無痛性の硬結で膿を出すようになり、これを硬性下疳と言う)が生じます。しこりはすぐ消えますが、まれに潰瘍となることがあります。また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れることがあります。

第2期

感染後、3か月から3年の状態。全身のリンパ節が腫れる他に、発熱、倦怠感、関節痛などの症状がでる場合があります。

「バラしん」と呼ばれる特徴的な全身性「発しん」が現れることがあり、赤く目立つ発しんが手足の裏から全身に広がり、顔面にも現れます。治療しなくても約1か月程度で消失しますが、抗生物質で治療しない限りトレポネーマは体内に残っています。

第3期

感染後3から10年の状態。皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生しますが、現在ではこのような症例をみることは稀です。

第4期

感染後10年以降の状態。多くの臓器に腫瘍が発生したり、脳、脊髄、神経を侵され麻痺性痴呆、脊髄瘻を起こし、死亡に至ることがありますが現在では稀です。

先天性梅毒

妊娠している人が梅毒にかかると、胎盤をとおして胎児に感染します。生後数年以内の乳幼児期に症状が現れる早期先天性梅毒では、梅毒しん、骨軟骨炎などがみられ、学童期以降に症状を呈してくる晩期先天性梅毒ではハッチンソン3徴候(実質性角膜炎、内耳性難聴、ハッチンソン歯)やゴム腫などがみられます。

現在では先天性梅毒の報告は稀です。出産時の検査により発覚することができ、出産前に適切に処置することができるからです。

治療方法

専門医に出向き、血液検査と感染部分の検査を行います。感染が確認されると、ペニシリン剤をそれぞれの症状に応じた期間(2~12週間)、服用します。